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2019年06月09日

ツノナシオニ 第12回 原因

ツノナシオニ.bmp先生が、トカゲ眼鏡を殴った。どう見てもそんな風だ。僕の心臓はドキドキしっ放しで、それが治まるどころかどんどん激しくなって、なんか息までがはあはあし始めてしまった。トカゲ眼鏡は、左の眼の下を左手で押さえたまま、しばらくの間先生の顔をじっと見つめていたけれど、ゆっくりと立ち上がると、血なんかついてもいやしない左の手のひらを眺めて、こう言った。(本文より)



ツノナシオニ 第12回 原因

 先生が、トカゲ眼鏡を殴った。どう見てもそんな風だ。
 僕の心臓はドキドキしっ放しで、それが治まるどころかどんどん激しくなって、なんか息までがはあはあし始めてしまった。
 トカゲ眼鏡は、左の眼の下を左手で押さえたまま、しばらくの間先生の顔をじっと見つめていたけれど、ゆっくりと立ち上がると、血なんかついてもいやしない左の手のひらを眺めて、こう言った。
「先生、あんた、馬鹿だねえ。これで、もうおしまいだよ、ジ・エンド。教師たるものが父兄に手を出して、あんたどうするつもりなのよ。せっかく教職とって、教員採用試験受かってさ。いろんなコネ使ってやっとこさ教師になっただろうにねぇ。でも、今までの苦労も全てパァってことだ。親御さんも、泣くだろうね。昔の人は、よく言ったもんだよ、短気は損気ってね」
「・・・・・・・」
「どうしました、セ・ン・セ。今更、事の重大さにお気づきになりましたか?いやいやいや、別に詫びなくっても結構だよ。詫びられたところで、私の気持ちは、金輪際変わりゃしないんだからさ」
「・・・・・・・」
 先生は、何かを言おうとしていた。でも僕には、先生がそれを一生懸命飲み込もうとしているようにも見えた。
 でも・・・、でも、なぜ先生は、いきなりトカゲ眼鏡を、殴ったりなんかしたんだろう。
 僕とお父さんが、ちょうど角の陰に頭を引っ込めて話をしていた時だったんで、事件の前に先生とトカゲ眼鏡の間にどんな会話があったのか、僕たち2人には全く聞こえなかったんだ。
 先生が、ようやく声を出した。それまで心に溜まっていたイガイガした気持ちの角が取れてしまったのか、丸くなったような声だった。
 しかもそれは、恐らく勝ち誇っているトカゲ眼鏡が、全く思いもよらない言葉だったに違いなかった。
「佐藤さん。先程のあなたの言った言葉を、撤回してください」
 トカゲ眼鏡は、鳩が豆鉄砲をくらったような、驚きとも、恐怖とも、呆れとも違うような不思議な顔をしていた。
「な、何を言い出だすのかと思えば、センセイ。は、ははは、あんた、なにを学生の討論会みたいなこと言ってるんだ?前言を撤回しろですって?何が正しいだの間違ってるだのって、あんたが今、そんな青臭い悠長なことを言える立場だと思ってるのかい?大体あんた、これからの生活、どうするつもりよ。もう1回冷静に、今のあんたの置かれている状況、考えた方がいいよ。いいかい?本当にわかってんのかい?わたしが警察に被害届を出しさえすれば、あんた、間違いなく懲戒解雇なんだよ。本当だったら、一時的な感情で手を挙げてしまった私が悪うございましたって、地面に額こすり付けて許しを請うのがフツウでしょ?それを、くっくっくっ、この期に及んで前言を撤回しろだって?こいつは、驚いた、はっはっはっはははは・・」
 大きな笑い声とは裏腹に、トカゲ眼鏡の眼は、ちっとも笑っていなかった。
 先生が、また1歩歩を進めて、トカゲ眼鏡が「おっと」と言って1歩後退りした。
「佐藤さん、心配はご無用ですよ。あなたにあれこれ指図していただかなくても、私の今後の身の振り方は、私が自分で決めます。ですから、話を戻させていただいて、もう一度言います。先程のあなたが、桃山さん親子に対しての暴言を撤回してください」
 ええっ?僕とお父さんは、顔を見合わせてしまった。
 だって、先生がトカゲ眼鏡を殴ったのは、僕たち親子に対する暴言が、原因だったなんて。
 僕のお父さんの握る手に、ぎゅーっと力が入っていった。

第13回「暴言」へつづく




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posted by maruzoh at 21:34| Comment(0) | ◆ツノナシオニ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町 誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジャー・ウォブルさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪