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2019年04月18日

ツノナシオニ 第2回 参観

ツノナシオニ.bmpお父さんに会いたいという気持ちは、前にも増して強くなっていたけれど、それと同じくらい不安も増していた。大概人間は、悪い方悪い方にものごとを考えがちになるのが多いらしい。いつの間にか僕も、その仲間の1人になっていたんだろうか、「お父さんは、どんな格好で来るんだろう」とか、「懇談会には、出席しないだろう」とか、「まさか給食のお代りなんてしないだろうな」とか、いろんなことを考えてしまう。(本文より)



ツノナシオニ 第2回 参観

 それからの僕は、心があっちにいったり、こっちにいったりと、まるで落ち着かないままに2日間を過ごして、あっという間に授業参観日の当日になった。
 お父さんに会いたいという気持ちは、前にも増して強くなっていたけれど、それと同じくらい不安も増していた。
 大概人間は、悪い方悪い方にものごとを考えがちになるのが多いらしい。
 いつの間にか僕も、その仲間の1人になっていたんだろうか、「お父さんは、どんな格好で来るんだろう」とか、「懇談会には、出席しないだろう」とか、「まさか給食のお代りなんてしないだろうな」とか、いろんなことを考えてしまう。
 そんな僕の心配をよそに、6月第3日曜日の小学校は、まるで平日と何も変わらないいつもの顔で、僕らを教室に迎え入れていた。
 今日は朝の会から4時間目までの全部が開放授業。給食を一緒に食べてから解散ということで、お父さんたちは、正面玄関の受付さえすれば、好きな時間にやってきて、好きな時間に帰っていけることになっている。
 僕はこの学校に転校してきてまだ2ヶ月だから、授業参観は初めてなので知らなかったけれど、初めての授業参観の1年生は別にして、お父さんたちも1日付き合っているのも大変らしくて、ほとんどのお父さんは3〜4時間目あたりからやってきて、お楽しみの給食を終えて子どもと一緒に帰るらしい。
 朝の会が始まると、僕ら4年1組の教室にも、熱心なお父さんたちがちらほらと姿を見せ始めた。
 よっぽど似ていない限り、本当は誰のお父さんかはわからないはずなのに、それが僕らにはすぐ分かってしまう。
 なぜかって言うと、お父さんが入ってきた子は、照れくさそうに下を向いてしまうし、気にしてないように見せかけていても、どうしてもチラチラと後を盗み見てしまう。
 お父さんの方も、みんなに気づかれないように「よお」なんて具合に小さく手を上げたりする。
「あれは、タッちゃんのお父さんだったんだ」
「へえ、すごくイケメンじゃない?」
「かっこいいね、いいなぁ」
 最初に入ってきたポロシャツに長髪のかっこいいお父さんを見て、みんなが少し羨ましがったそのすぐ後だった。
 クラスの後の出入口をくぐる様にして、黒っぽい縦縞のスーツに身を包んだ身長2メートルをゆうに越す人影が、のっそりと現れた。
 クラスにどよめきが起こった。西原先生も、思わず口をあんぐりしてしまった。
 僕の、僕のお父さんだった。僕がとっても会いたかった、強くて、やさしい、僕の大好きなお父さんだった。

第3回「帽子」へつづく




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posted by maruzoh at 23:10| Comment(0) | ◆ツノナシオニ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町 誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジャー・ウォブルさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
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